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総合建設業 蜂谷工業株式会社 HACHIYA Construction Co.,Ltd.

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削孔管理システム

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現場の「たいへん」から生まれた特許技術

削孔管理システム―聞き慣れない言葉だ。地震の揺れにより橋が壊れないように「補強工事」をするのだが、これにはコンクリートの橋脚に金具をボルトで固定するための穴をあける作業がある。その際、空けた穴の深さや直径などを正確に測り、記録管理することが求められる。何百、何千という穴をメジャーで測り、記録していく作業は時間がかかり効率も良くない。これをなんとか時間を短縮して正確に記録できないかと考えられたのが、蜂谷工業の「削孔管理システム(商品名:削孔Palette)」だ。蜂谷オリジナルの技術、方法であり、特許を取得したという優れモノである。

災害に備える工事に必要

津内:土木工事のなかに落橋防止対策工事というのがあります。地震が起きた時、橋桁が橋脚から落ちてしまわないように金具を取り付け補強をするわけです。その金具を付けるためにコンクリートの柱にいくつも穴をあけ、太いボルトを通してこの金具を固定するのです。
その際、穴一つずつの深さを測らなければなりません。穴をあけるのは協力会社の職人さんですが、深さを測るのは私たちの仕事です。早く簡単に、そして正確に深さを測る方法はないか。考えついたのが、この削孔管理システムなのです。大きな地震が起きた時、橋桁がズレて救助など緊急出動ができないということにもなりかねません。災害対応で求められる技術です。

津内:大体一つの工事で5000個ぐらいの穴を計測し記録します。計測は3人がかりで色々な道具を使って行います。すごく労力がかかります。生産性を向上させるためにも自動で測って管理できないかな、ということで考案したわけです。
この管理システムなら一人で計測できるだけではなく、測った後の記帳や管理ができるのでとても効率が良くなります。

削孔管理システム現場作業画像

試行錯誤を繰り返して

津内:はい。とはいっても当社は建設会社ですから、機械とかシステムは得意ではありません。レーザーセンサを扱っているところなら協力してもらえるのではないかと探したのです。たまたま株式会社Momo(本社:神戸市)さんという会社が「やったことはないけど、やってみてもいいよ。協力してもいいよ」と、一緒に考えてくださることになったのです。

津内:こんなものが作れないかとスタートして、試行錯誤を繰り返し、形ができるまで2年間くらいかかりました。似たような機械がなかったですし、途中で「これは無理かも」とくじけそうになったこともありました。

削孔管理システムを説明している画像

津内:測定機器を安定させることができず計測できなかったのです。デバイスガイドで機械を保持できるようになって、安定した計測ができるようになりました。
国土交通省に革新的な技術を援助する制度があることを知り、チャレンジしてみたところ、A評価で採用されました。これは自信になりました。2022年6月のことです。

津内:会社としても新しいことにチャレンジしようというタイミングでしたので、役員会でプレゼンしたところ、とてもよい反応をもらえました。今は特許を取得できて、現場の技術者たちにも少しずつ知ってもらえるようになりました。

津内:公共工事は、こうした計測などもルールに則った方法でなければなりません。まず、仕様書に計測方法として認められることが求められます。これをクリアすれば、実践で使えるようになります。そうなれば、当社だけでなく全国の同様の工事現場で削孔管理システムが取り入れられ、ひいては工事のスピードアップが図れるというわけです。

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パートナーの声

株式会社Momo 担当者の大津さん画像
株式会社Momo担当者の大津さん

反響の大きさに驚き

こうした問題自体が存在することを知らなかったため、本当にこれが大きな課題かどうかをはじめは理解できていませんでした。また、建設機器などのICT化に比べて出来型管理はあまりシステム化されていない、ということについて意外に感じたことを覚えています。

何度かの打ち合わせや見学の過程で、橋梁関連やその他既設構造物の工事に広く使える可能性を感じました。挑戦する価値があると理解でき、モチベーションが上がりました。また、こうしたIoTシステムの場合、途中まで開発してから別の方式を採用するなどして、手戻りが発生することもあります。しかし、「まずやってみよう」と後押ししていただけたので安心感がありました。

最初の段階で課題は定義されていたものの、どういうデバイスやシステムを使うと実現できるかなど、ゼロベースでの検討からはじめました。また、画像解析など高度な部分もあったため、少し心配ではありました。しかし、進めていくうちにむしろデバイスの開発に課題が多く出てきました。削孔を捉えるためにロッドが伸縮する機構を制作しましたが、この仕様に行き着くのにかなり苦労しました。また、レーザーセンサの角度や位置を適切にしないと計測結果が正確にならないため、レーザー部品の検品と試験、設置治具の思案、完成品の試験など、精密化するための工夫が必要でした。

2023年末に発表し、複数のメディアに取り上げていただきました。ゼネコンの皆様を中心に多くのお問い合わせをいただいております。また、鉄道系の施主様からもお声がけをいただいておりまして、反響が大きいことに驚いております。やはり課題の定義が適切で、またその課題が大きかったのだと思います。

土木領域は事業構造も工法も課題も複雑であり、さらにはフィールドを得ることも難しい事業領域なのですが、担当の近兼様や津内様、井上様にとても親切に教えていただきました。一旦完成したシステムについても、改善点を多く挙げていただき、作って終わりではなく常により良いシステムを追求する姿勢に弊社も鼓舞されています。
また、よくオフィスや現場を訪問させていただくのですが、皆様建築、土木の深い知識や洞察をお持ちなだけでなく、温かい人柄の方ばかりでいつも元気をいただいています。